2022年4月1日にシロクマ書庫さんから電子書籍を出版しました。タイトルは『水の中に沈む』。内容は中編二作品を収録しています。
*シロクマ書庫解散により、ご購入いただけなくなりました! 申し訳ありません!(汗)
『飴玉を舐めるような』
まず先にお話したいのが同時収録した『飴玉を舐めるような』です。こちらは2021年11月20日にカクヨムで短編小説として公開しました。
カクヨムで短編公開した際の執筆裏話記事はこちらhttps://amamiya-sakura.com/20211120/
当時の執筆裏話記事を読む限り、かなりカクヨムさんに怒られることを意識している(笑)でも、禁断の恋愛、しかも未成年に手を出している話ですから、怒られるの必死! 今のところ何も連絡が来ていないので、きっとセーフだったのでしょう。わからないようにぼかしたのが功を奏したか。
この『飴玉を舐めるような』を雑食ベアーさんに批評していただいたのが、下記のYouTube動画です。めちゃくちゃ褒めてくれていて、照れ照れでした!
私としては、『飴玉を舐めるような』を読んでいただく前に読んでもらった『トキ傳 観月の宴』の感想が嬉しくてですね(笑)そのお礼の気持ちを込めて、投げさせていただきました。
きっと「こういった作品が好きな人、世の中にいるよね」くらいの軽い感想が来る。そう想像していました。なんたって禁断愛。好みがパキッと分かれてしまいますもの。
それがまさかの大絶賛でして!(感激!)
この作品が出版につながることとなりました。
* * *
今回電子書籍化するにあたって『飴玉を舐めるような』を加筆修正することとなりました。カクヨムで公開している形でお金をいただくなんてこと、私の心情として許せなかったのです。
無料の場で公開しているものと、有料で公開するもの。そこには線引きが必要。そう考えています。
でもこの加筆修正作業、本当に大変でした。『飴玉を舐めるような』は集中して書いた短編小説だったので、その時の気持ちに戻すのに苦労したのです。当時執筆中に聴いていた音楽を聴きながら必死に戻ろうと努力して、執筆終わる頃に思い出すというカオス状態でした(笑)
苦労した点はそれだけではなく、物語の構造上、どこを加筆するのか、という悩み。これはかなり迷いました。文章を順々に読んで、最後に「こういう関係だったのか」と判明するように仕組んでいる小説だったのです。つまり、ミステリー要素がちょっとある。そこを崩さず全体のボリュームや世界観に厚みを持たせなければならなかった。そこに苦労しました。
もし文量を増やすというのなら、生きている凪菜の現在を描くしかない。それこそ保坂さんとの関係を短編小説バージョンだとサラリと描き過ぎていたので、そこを補強しようと思いました。また、過去の話で曖昧にし過ぎていた部分に映像を足してみたかった。
全体のバランスと、ちょっとした仕掛け。そこに気をつけながら世界に映像を足し、感情を増幅させた。そうして完成したのが電子書籍版『飴玉を舐めるような』です。
『水の中に沈む』
『水の中に沈む』は『飴玉を舐めるような』の加筆修正前に執筆した小説です。
シロクマ書庫代表・雑食ベアーさんは『飴玉を舐めるような』だけで出版するつもりでいました(多分)。なんか、電子書籍は文字数制限や紙の印刷で悩む必要はないから、どんなに短くても構わないらしいです。
でも紙の本に慣れている私からしたら、そんなことあり得ない!
『飴玉を舐めるような』はどんなに加筆しても20000字。それ以上書くとなると、全体のバランスがおかしくなるのは感覚として理解していました。たった20000字の小説を、しかもカクヨムで無料公開している小説の加筆修正を、売りに出すのは嫌だった。
だから先手を打って『水の中に沈む』を執筆したのです。「ものがあれば黙るでしょう」という悪知恵です(笑)これがうまくいきまして、私の希望通り『水の中に沈む』と『飴玉を舐めるような』を一冊にまとめて出版することとなりました。
* * *
『水の中に沈む』は完全書き下ろし小説です。ですが、書くにあたってある考えがありました。それは「『飴玉を舐めるような』に似ていて違う小説を書く」というものです。
何故そのように考えたのか。それは、短編小説集はCDアルバムのようなものだと考えているから。
CDアルバム、今では円盤を買う人は少なくなりましたが、私が学生の頃は主流でした。一枚のCDにヒット曲が収録されていて、合間に世界観をつなげるような音楽があった。一枚で一つの世界を構築し、視聴者はその世界を心ゆくまで楽しむことができるCD。
短編小説集はそういうものだと考えています。短編小説それ単体でも楽しめるけれど、全体を読んでより深みを知る。「どうしてこの短編小説は同時収録されているのか」を考え、自分なりの発見を得る。そういった楽しみがあるのが短編小説集だと思います。
だから『飴玉を舐めるような』に同時収録する小説は「それに似ているけれど、違う作品」が良いと思いました。
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では「執筆にはかなり苦労したのでは?」とお思いかと思いますが、そんなことありませんでした。執筆のタイミングがちょうど年末の連休で、時間を大量に確保できたからです。おかげで大掃除もおせちもいい加減でした(笑)
描きたい世界があって、それをうまくキャッチできたのも良かった。どこまでも水の中に沈み込むような、深い愛の感情。それがゆらりと私の胸の中に漂ってきた。それを掴んで文字に落とし込むことができたから、躊躇うことなく描き切ることができた。
書いている間はかなり感覚に頼っていました。なので「私の中でこの二作品はセット」と感じていたけれど、実際分解して見た時どうなるのかが心配でした。
その心配は杞憂で、どちらの作品も書き終わって並べた時に、共通点と相違点が浮かび上がってきました。
片方は愛に沈み込んで浮上できない。片方は愛に囚われていて離れられない。どちらも一人の男性を愛しているけれど、その想いは叶わない。相手は禁断であり、背徳的。
ここを雑食ベアーさんや他の方に説明した時「あ、うまいこと書けたな」と自分でも納得することができました。
* * *
今回出版した『水の中に沈む』の創作話は動画でも一度お話ししています。気になる人は下記の動画をご覧くださいませ。間にのんびりと変な話とかしてますが、そこは気にしないで(笑)
このお話をした時は「シロクマ書庫から出版を考えている人のためになる話」を念頭に置いていたので、それに合うことを話題にしています。だから全体的に出版までの流れを説明しているのですが、それなりに裏話が詰まってます♪
また機会があれば、是非ともシロクマ書庫さんから出版したいなぁと思っています。編集さんに自分の文章を見てもらったのは今回が初めてだったのです。誰かに文章を添削してもらう。それがとても勉強になりました。
もし「自分もシロクマ書庫から出版したい」とお考えの方は是非、シロクマ書庫ホームページをこまめにチェックしてください。それと、Twitter公式アカウントのフォローをお願いします。随時情報を公開してくれるそうなので。
シロクマ書庫公式ホームページはこちら http://polar-bear.info/top
*シロクマ書庫解散により、ホームページはなくなりました!
執筆後の感想
執筆中は基本、変なテンションで突き進んでいます(笑)「これが響かないなんてあり得ない!」くらいの暴走をしているので、書き終わり距離を置き冷静になった後、出来上がったものを見るとびっくりします。「なんか、しっちゃかめっちゃかだな」とか「暴走し過ぎて読者置いてけぼりじゃね」とか、色々。
でも『水の中に沈む』と『飴玉を舐めるような』にはその驚きがなかった。むしろ「これ書き切った私、すごくね?」と自画自賛するばかり(笑)それだけ心血注いで書いたのです。
二作品は私の知っている感情を描いています。それは実体験ということではなくて、「感情を理解できる経験を知っている」ということ。
愛に沈み過ぎて辛い気持ちも、愛から離れられなくて苦しい気持ちも、知っている。
この二作品を書けて本当によかった。私の作家人生を本当にスタートさせてくれた作品だと思うし、自分の未熟な点や成長できる点を教えてくれた作品でもあります。ここから新しい出会いが広がれば良いな、と願わずにはいられません。
もし「まだ読んでいない」という方は、手に取っていただけると嬉しいです。
*シロクマ書庫解散により、ご購入いただけなくなりました! 申し訳ありません!(汗)
人によっては「高い」と感じる値段設定です。私も「おお、強気」と思いました(笑)でも、それに見合うだけの物語を紡いだと自負しています。
どうかあなたの人生に愛がありますように。
ではまた、次の作品でお会いしましょう。
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