青春小説を読むぞ!
ということで今回読んだのは、津村記久子さんの『エヴリシング・フロウズ』です。
中学三年生のヒロシはなんとなく脱力した日々を送っています。
一時期真剣にやっていた美術は、同級生の絵のうまさを知ってからストップ中。
親友と呼んでいいのか悪いのかわからない友達は、隠し事が多い。
なんとなく気になる女子生徒は、ヒロシのことを異性として見ていなさそう。
その女子生徒の親友は、ちょっと怖い。
ぼんやりと生きていても、やってくる高校受験。
ヒロシたちは日々の生活を淡々とこなしながら、ちょっとした事件に遭い……。
淡々と綴られる文章に苦手意識を持つ方が一定数いる予感。
でも、この淡々と曖昧に日々をゆらりと生きている感じ。
まさに中学生! と私はじんわり思いました。
友人関係とか、中学時代ってこんな感じだったよなぁ、と懐かしくなりました。
一生を共にする、というよりも緩いつながり。
好きな人はめちゃくちゃ好きな作品な気がします。
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私が読み始めて思ったのは「やば、これ、思いの外じっくり読む系の小説だ!」でした(笑)
ちょっと急ぎでいろいろな青春小説を読まなくてはならなくて、じっくり腰を据えて読む予定ではなかったんです(汗)
さらっと読めなくてどうしようかと不安でしたが、後半に行くにつれページを捲る手が止まりませんでした。
大事な中学三年生という学年を、儚くも味わい深く描写している。
その筆力に圧倒された、のかもしれません。
きっとヒロシは淡々と生きていく。
その生き様は、多くの共感を得るはず。
でも、じっくり読書できない人には、本書は苦痛だと思います。
この小説は、じっくりと向き合う作品です。
拙速さを求める人は、読めない。
じっくりと青春時代を思い出したい方は是非!

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