いろいろと読まなくては!
ということで今回手に取ったのは、上田岳人さんの『私の恋人』です。
世界観にピントが合わない人は混乱すること間違いなしな小説!
私はめちゃくちゃ好き!
主人公・井上由祐には前世の記憶があります。
クロマニョン人であったときと、ユダヤ人のハインリヒ・ケプラーであったとき。
クロマニョン人であったときは、とにかく天才。
天才すぎて、先々の未来までわかっていました。
だから、ところどころ文章が超然的。すごいの。
この超然的具合が素敵なの。
「あなた様のおっしゃる通りですぅぅぅぅぅ!」
って読みながら叫びたくなっちゃったの。
そんな主人公・井上由祐は、三回目の生でやっと理想の彼女と出会えました。
その理想がまたびっくりな人物像で!
でも、仮説と出会った恋人の人生を紐解いていくと、本当に理想的な女性で。
この予想はクロマニョン人の時にしていたとは、本当にすごいです!
愛を貫いた女性の物語『ピンク&シュガー』
主人公の世界に対する考え。
理想の彼女の人生。
死んでしまった男性の人生。
時系列があっちこっちに移動するので、文章をサラッと読んでしまう人は混乱するかも。
じっくり読むと、これほどまでに味わい深い作品はないと思います!
とにかく、哲学的! だけど、わかる! なんかわかってしまうのです!
天才すぎて、孤独で、先々まで理解していて。
だからこそ最後の問いかけは、超然的からヒトになった感があって。
理想の彼女をずっと待っていた理由が垣間見えて。素敵。
わかる人にはわかる。でも、わからない人は絶対にわからない。
主人公の話していることが理解できるかではなく、わかるかどうか。
それが大事なのだと思います。
彼が何を見ているのか。
わかったフリがしやすい物語です。
(私自身、深いところまでわかっていないと思っています)
ちゃんとわかろうと思うと、もっともっと、私たちは思い込みをとっぱらわないといけない。
ちょっとした予言の書っぽくって、いいなぁ。
少し変わった恋愛小説です!
(恋愛小説、という括りをして良いのかどうか、ちょっと迷う)
気になる人は是非!

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