高校生の時に買った文庫本で、ずっと積読していた一冊です(汗)
どうして高校生の時に本書を購入したのか、理由はさっぱりわかりません。
だって、渋いよ?
ということで、今回紹介するのは佐江衆一さんの『長きこの夜』です。
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佐江衆一さんの作品は今回初めて読みました。
有名な作家さんなのに(汗)
……若い頃の私、偏りすぎだろ……いやでも積読してたしなぁ。謎。
本書は短編小説集のようでありながら、連作のようでもあり。
介護が必要となった両親と共に暮らす中で抱いた感情。
介護の大変さ、長生きしていることへの思い、親孝行。
歳を取ったことによる性生活の変化、体の衰え、愛。
これ、中高生が読んでも、たぶんピンとこない。
今この歳になって読んで良かった作品です。
収録作は以下。
「風の舟」
「長きこの夜」
「「わたし、どうしたらいいの?」」
「赤い珠」
「おにんどん」
「死者たち」
「橋の声」
愛を貫いた女性の物語『ピンク&シュガー』
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「風の舟」で涙腺がぶっ壊れました(涙)
だって、切ないじゃないか!!!
長生きして死んでしまった父親と、不思議な再会。
思い返すのは介護の大変さ。愚痴。しなかったこと。
でも、振り返れば父親にとって、大事なひとときだったのに。
死者との邂逅は、言葉にしづらい感情が心の中で渦巻きますよね。
ああしてあげれば良かった、が絶対に出てくる。
本書はその複雑な感情が渦巻くけれど、でもどこか、やり切ったという安堵も見えたりして。
戦争の悲惨さも同時に描かれているのは、世代だから。
私は生まれが昭和なので、切なかったです(涙)
今でもなんとなく、昭和の暗さを覚えています。
だからなのか、グッと、息がつまる感覚を思い出しました。
生きるって大変だ。でも、生きねばならぬ。
気になる方は是非!
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