【書評】文壇の空気を知る

書評・勉強になる本紹介

調べ物中に見つけた一冊。
初めは「堅苦しいかな」と警戒していたのですが、予想外に面白かったです!(笑)
紹介するのは、大久保房男さんの『戦前の文士と戦後の文士』です。

本書を執筆した大久保房男さんは、戦後講談社に入社し、長年『群像』の編集長を務めた方です。
つまり、多くの文豪と知り合い、共に仕事をされた経験がある方です!
タイトルにあるように、戦前の文士と戦後の文士を比較するような内容にドキドキしました。
私、戦前の文士が好きだわ。

文壇ってどういうものだったのか。
どのような空気や価値観があったのか。
作家同士、どんな関係性を築いていたのか。

近々ちゃんと日本近代文学の歴史を勉強しようと思っているので、本書の内容はとても面白かったです!
人間関係って難しいよね(汗)

愛を貫いた女性の物語『ピンク&シュガー

戦前の文壇は、曲者揃いな印象があります。
みんなプライドが高くて、私生活がめちゃくちゃで、何かと編集者を呼びつける、ような(汗)
そういう方ばかりではないでしょうけど、そんな偏見があります(汗)なぜだ(汗)

なので、本書に書かれているエッセイ風の思い出話は、納得できる部分もありつつ、「違ったんだな」という発見もあったり、面白かったです。

何より、大久保さんの『群像』に対する熱い想い。すごく素敵。
『群像』に掲載できる作品の質
このような線引きの考え方は、今の文学界にどの程度残っているのでしょう。

「売れればいい」「人気が出ればいい」
出版社は利益を上げなければ潰れてしまいます。だから、そういった考えが間違っているとは思いません。
ですが同時に、それだけで判断するのは嫌だなぁと。

出版社は文化を担う側面もある。
大久保さんはその考えを大事にしています。
だから、『群像』に載せられる作品とそうでない作品、明確に区分していました。
質の担保が、『群像』を今でも刊行できる強さに繋がっていると思います。

機会があれば、他のエッセイも読んでみようと思います。
気になる方は是非!

なぜシロクマ書庫は解散したのか?『シロクマの背に乗る

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