【書評】その闇を分析する

書評・勉強になる本紹介

犯罪心理を詳しく知りたいと昔から思っています。
どうしてなのか。
たぶん、なぜ自分は犯罪を犯さなかったのか、を知りたいから、でしょうか。

たとえどんなに残忍な犯行であっても、犯人と同じ立場だったら私もするかもしれない。
そういった、諦めとでもいいますか、自分に対して冷めた部分があります。

今はとても幸せな日々を送っているけれど、ちょっと失敗すれば脆くも崩れ去る儚さが人生にはある。
その時もし狂気に飲み込まれたら、私はきっと酷い犯罪を行うだろう。

心のどこかでそう思っています。
だから犯罪心理を学びたいのだと思います。

そこで今回手に取ったのは、矢幡 洋さんの『少年Aの深層心理「透明な存在」の言説分析』です。

本書が取り上げている事件は、神戸児童連続殺傷事件です。
あまりにも衝撃的な事件で、事件発覚後連日報道されていたように記憶しています。
 気になる人はWikipediaをご覧くださいな 神戸児童連続殺傷事件

どうして犯人はあのような行動を取ったのか。
事件の概要を知ってはいましたが、その内面を想像だけで保管するのは難しかったです。
だからといって手当たり次第に情報収集するのも躊躇われ。
そこで本書を手に取りました。

本書は臨床心理士である矢幡 洋さんが、少年が残したものを頼りにその心理を探ります。
なので、一つ一つの証拠の分析が丁寧です。
ただ、実際の画像がないのが難点(汗)
臨床心理の勉強になりました。

愛を貫いた女性の物語『ピンク&シュガー

本書を読んで感じたのは、「私は彼の気持ちがわかる」でした。

素直な自分を出せない苦しさ。
自分はずっと苦しんでいたという思い。
本当の自分を見てほしい気持ち。

それは過去、私が抱いていた感情そのものです。
もしあの頃の私が何らかの出来事をきっかけに暴力性を爆発させたとしたら。
私はいとも簡単に他人を害していたでしょう。

ただ、私の場合は運良く環境に恵まれました。
乗り越えられるきっかけを多く授かりました。
自己努力によって世界を変えられる事実を知りました。
幸いにも少年と同じ道を歩かずに済みました。
ありがたいばかりです。

今後もちまちま犯罪心理についての本を読んで、小説執筆に活かそうと思います。
今回紹介した本が気になる方は是非お読みくださいな。

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