【書評】体系化しにくいウェブ小説の歴史

書評・勉強になる本紹介

とにかくウェブ小説の歴史はわかりづらい。
というか、同時並行であっちこっちでいろいろなことが起こるので、混乱します(汗)
しかもウェブだからか、正確な情報の収集が難しくって(汗)

今回紹介するのは、飯田一史さんの『ウェブ小説30年史 日本の文芸の「半分」』です。

本書は星海社新書なのですが、とにかく分厚い!
総ページ数550ページあります!(汗)
自立できる分厚さ、大好きです!

内容は、各年代に分けてウェブ小説界隈で何が起きたのかを紹介しています。
とにかくものすごい量! 常にさまざまな事象が起きていて(汗)
これ、まとめ上げるの本当に大変だったと思います(汗)
執筆者の飯田一史さん、すごいです! 尊敬します!

スタートは1990年代。ここから2022年まで振り返ります。

読み物というよりは、「何があったのか」を箇条書きにしている印象が強い一冊です。
でも、本書のような「この時代に何があったのか」を網羅している本は、今のところ、この一冊しか出会ってないです。
そのくらいまとめ上げるのが大変なのだと思います(汗)

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本書のありがたい点は、日本国内だけでなく中国・韓国のウェブ小説の動向も抑えている部分です。
ここから日本のウェブ小説の問題点、弱点、伸び代が見えてきます。
それと、課題。
今後どのような発展をするのか、そして、させるべきなのか。
この先、どのような収益構造でウェブ小説投稿サイトを構築すべきなのか。
いろいろと考えさせられます。

面白いなと感じたのは、意外とウェブを利用して小説を公表しようとしていた作家さんがいた事実。
そして撤退した経緯。

注目ポイントは、小説投稿サイトの評価基準かなと思っています。
読者による評価システムと、既存の公募。
プロの作家や編集者の視点ではなく、読者の評価でウェブ小説の良し悪しが決まります。
1990年代にウェブで小説を公開したプロの作家さんたちは、こことの折り合いが悪かった。

今後、おそらくこの部分が問題になると思っています。
いろいろと考えながら、業界を見ていきたいです。

これからのウェブ小説の未来を考える上で、外せない一冊。
気になる方は是非。

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