「これはとても面白いから」
その言葉と共に親から渡された一冊が、今回紹介する本だったように記憶しています。
真っ黄色の表紙。
少し頼りない筆跡で書かれたタイトル。
インパクトに気押された記憶があります。
今回紹介するのは森絵都さんの『カラフル』です。
これ、転生ものです!
……あの、でもなろうではないですよ? ちゃんとした児童文学です(汗)
主人公・ぼくは天使に「おめでとうございます! 抽選にあたりました!」と祝福され、自殺を図った少年の体に一時的に転生します(ホームステイという)。
自殺を図った少年の家庭はぐちゃぐちゃで、学校内の友人関係も皆無。
とりあえずぼくは自分の罪を思い出そうと頑張りながら、少年として日々を過ごし──。
天使のいい加減な感じ、ぼくの苛立ちと戸惑い、少年の家庭環境への思い、学校内での人間関係……。
仮の体に転生したぼくの行動が少しずつ周囲を動かしていく様子は、つらい青春時代であったとしても「頑張って乗り越えよう」と励ましてくれるよう。
最後、ものすごく感動したのを覚えています。
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カラフルなのにどうして真っ黄色な表紙なのだろう?
初めて本書を手に取った時、まず最初に抱いた疑問です。
カラフルだというのなら、虹色がいいのでは? と子供ながらに思いました。
でも今はこの真っ黄色な表紙が大好きです。
この黄色い表紙じゃなきゃ『カラフル』じゃない。
自殺を図った少年の日常は重苦しいものです。
「こんな人生、いいことなんかない」と手放してしまった気持ちがわからなくもありません。
私自身、学生時代が薔薇色だったのかと問われれば、まるでそんなことはありません。
「どうして」「わからない」「理不尽」「腹が立つ」
鬱屈した感情の発散方法がわからなくて、「もう嫌だ!」を何度も繰り返しました。
何かボタンをかけ違えば、自死を選択してもおかしくなかった。そんな気がします。
だから本書で書かれている少年の選択はとても理解できるのです。
どうしようもない今に絶望する気持ちは、知っているのですから。
そんな少年の環境を知ったぼくがどのように行動するのか。
きっと私は間接的に救われたのだと思うのです。
児童文学に分類される小説ですが、大人が読んでも素敵な物語です。
興味を抱かれた方は是非、お手に取ってみてくださいな。
『カラフル』ですが、何度か映画化してます。
私が覚えているのはアニメ映画化なのですが、実写もあるのですね(汗)
気になる方は是非チェックを♪
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