表紙を見た時、「あ、読まなくちゃ」と閃いた一冊。
それが今回紹介する川上弘美さんの『センセイの鞄』です。
川上弘美さんの執筆された小説の中で一番最初に読んだ作品になります。
手元に置いているのは、文春文庫です。
白色の背景に、橙の線で鳥がサラッと描かれいる表紙。
この表紙の儚さが気に入ったから手に取ったのかもしれません。
内容は、主人公が居酒屋で高校時代の恩師に出会ったことから始まります。
つかず離れず。
同じ時を過ごしながら、次第に惹かれ合う二人。
そこに年の差は関係ない。
二人にしか共有できない大事な日々を積み重ねる、さみしさを柔らかく包んだような物語です。
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読み終わった後、ぼんやりとしてしまったのを覚えています。
二人が積み重ねた時間。
二人の間に生まれた大人の関係。
それが終わってしまった時、主人公が取った行動。
価値観の違う男女が向き合い、交わした会話はなんて尊いのだろう。
この小説を読んで、自分とは違った人と会話する大事さを知った気がします。
自分がわかる世界だけではなく、自分とは違った考えを持つ人を知る。
その人は、時には理不尽に思えるようなことを言うかもしれない。
理解の範疇を越える言葉を投げてくるかもしれない。
一見無意味に見える何かに価値を見出しているかもしれない。
それが大事なのです。
分かり合えない部分もある、というのが、何より大事なのだと。
そういった気づきを教えてくれました。
私が大事に思っている一冊。
もし気になられたら、是非お読みくださいな。
ちなみに、私は見たことがないのですが、映画があったのですね!
どこかで巡り会えたら、見てみたいなぁ。
そして更に追加で紹介するならば。
西炯子さんの『男の一生』。
この漫画も年の差恋愛を描いています。
二人の距離感、空気感が好きな作品です。
完結しているので、気になられた方は是非。
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