茶道。
実は、昔から興味があります。
そのきっかけは、幼稚園。
仏教系の幼稚園に通っていたのですが、そこで茶道を体験する授業がありました。
慣れない正座に、よくわからない作法。
でも、出される和菓子に心をときめかせ、抹茶の美味しさを知りました。
茶道を知りたい。でも、習いに行くほどでもない。
なんとなく世界を垣間見たいだけ。
そんな気持ちを抱えつつ、気がついたら大人になっていました。
ある時、茶道を描いた映画の存在を知りました。
樹木希林さんが亡くなってすぐの頃、だった気がします。
その原作が、今回紹介する森下典子さんの『日日是好日「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』です。
著者の森下典子さんは、お茶を習い始めて二十五年以上。
きっかけは、母親の「あの人、ただものじゃない」という一言。
そのただものでない女性が、お茶の先生でした。
なんとなく始めた茶道は慣れないことばかりで苦労されます。
どうしてなのか。
意味はあるのか。
理由もわからず作法を真似るように言われ、戸惑う気持ちに、自分も同じ立場なら反発する、と頷いてしまいます。
その間に、人生ではいろいろなことが起こります。
就職の失敗、人生最大の失恋、父親との死別。
心が掻き乱されどうしようもなくなった時、お茶の世界がそっと寄り添ってくれました。
『シロクマの背に乗る』絶賛発売中!
本書は謎めいた茶道という世界を垣間見れるのと同時に、世界をそのまま受け入れる素晴らしさに触れることができます。
風の音、水の音。葉が揺れ、花は咲き、雨が降り、お湯が沸く。
一年を通じて季節を体感し、今まで見えてこなかった世界がふと目の前に現れる感覚。
世界はなんて広く、深く、美しいのだろうと感動します。
本書を読む時間がない、という方には、映画がおすすめです。
初めて映画を見た時、その美しさに心が虜になりました。
黒木華さんの迷いながら茶道に向き合う姿に共感してしまいます。
そして何より、樹木希林さんの存在感。
素敵な女優さんだったなぁ、と少し寂しくなりました。
『日日是好日「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』。
お気に入りの一冊です。
気になる方は是非、お手に取ってみてくださいな。
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