日本人の心はどのような構造をしているのだろうか。
小説を書く上で考えることは、上記の内容です。
日本国内で大ヒットする映画と、海外で大ヒットする映画。
国内で大勢の人に読まれる小説と、海外で好まれる小説。
日本で人気のある漫画と、海外でファンが多い漫画。
これらは必ずしも同じではありません。
日本人ならではの基準があるのではないか?
悩んだら読書するのが一番。
今回は前にも別の本を紹介した河合隼雄さんの『母性社会日本の病理』を紹介します。
本書は日本特有の精神構造を説明している本になります。
前回紹介した『カウンセリングを語る』では講演の内容を文字に起こしたものですが、本書は『中央公論』に寄稿したものになるので、読みづらい部分が多少あります。
『カウンセリングを語る(上)』の紹介はこちら
『カウンセリングを語る(下)』の紹介はこちら
「第一章 日本人の精神病理」では、我々日本人は母性社会に生きている、父性が不在である、と教えてくれます。
「第二章 ユングと出会う」では、ユングやフロイトのことを交えながら、どのようなことを学ばれてきたのかがわかります。
「第三章 日本人の深層心理」では、夢分析を例に、日本人の特徴を紹介しています。
「第四章 物語は何を語りかけるか」では、昔話や神話などを例に、物語から私たちはどのような考えを抱いているのかを掘り下げています。
本書の面白い部分は、物語が私たちにとってどれだけ大事なものであるのか、を間接的に表現している点ではないでしょうか?
河合隼雄さんは夢分析や神話、昔話を通じて、私たちの根底に流れている自意識とはどのようなものなのかを探求されています。少々強引な気もする部分もありますが「このように考えることもできる」という参考にはなると思います。
合間、専門的な話が書かれており、読みづらく思いました。ですが、第一章の母性社会の考察はとても勉強になります。
日本人が社会構造的に抱えている問題、それを端的に表現しているのではないでしょうか?
気になる人は一度お手にとってみてくださいな。
コメント