物を書いて生計を立てたい──この願いを抱き続けている私ですが、実際生計を立てていらっしゃる方はどのような生活をしているのでしょうか?
文章を綴ることが仕事なので、自宅で仕事を行うことがメインなのでしょうか?
お金はどのくらい稼げるのでしょうか? または稼げないのでしょうか?
一日をどのように配分して生活しているのでしょうか? まさか一日中椅子に座っているのでしょうか?
考え始めたら謎は増えるばかりでキリがありません。
そこで、疑問に答えてくれる本はないだろうか? と探したところ、一冊の本に出会いました。
それが今回紹介する佐藤友美さん著の『書く仕事がしたい』です。
本書の著者・佐藤友美さんは長年ライターとして活躍されている方です。日本初のヘアライターとして有名な方で、テレビやラジオでも活躍されています。また、ライター業だけでなくコラムニスト・エッセイストとしても活躍され、活動は幅広い方です。
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どうしてこの本を手に取ったかというと、帯に書かれている文章が衝撃的だったからです。
それは『書いて生きるには文章力“以外”の技術が8割』というもの。
文章で生計を立てたいのに、文章力以外のスキルがないと生計を立てられない?
驚きの謎を解くため目次を確認すると、なるほど、確かに文章力以外の力がとても重要そうです。
細かい内容を確認し、今後の仕事に繋げていきたい。
そのために必死になって読みました。
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本書はまず、「書く仕事とはどのようなものがあるのか?」という前提から教えてくれます。
その中でもライター業に重きを置いて説明しています。
どんな人がライターに向いているのか?
ライターになるのは難しいことなのか?
ライターはどのような生活をしているのか?
生活費を稼ぐことは可能なのか?
転職する上で知りたい内容を網羅しています。これだけで大変助かるな、と思いました。
その次に、ライターとしてデビューするにはどのようなことに気をつけたらよいのか? や、自分の強みの見つけ方はどのようにしたらよいのか? などの疑問にも応えてくれます。
ライターとして持っておきたいスキル、マインドなども紹介しています。
ライターはどのような技術を求められる職業なのか。
小説的な文章を求められているのではなく、相手に間違いなく情報を伝える技術。相手の要望にマッチする文章を紡ぎ上げ、締切に間に合わせるスケジュール管理。そして、対人の仕事であることを忘れず、相互の良好な関係を築くことの重要さ。
大事なことが体験談と共にわかりやすく紹介されています。
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本書は著者がライター業を中心に仕事をしてきたため、ライターとして活躍したい方には大変勉強になります。逆に、私のような「物書き」を目指す人間には内容が少し合っていません。
ですが、勉強にならなかったかというと、そんなことはありません!
ライターと物書き、どちらにも編集者と仕事を行う側面があるからです。
本書のCHAPTER 4の最初に、編集者とどのように付き合うべきか紹介されています。
文章を綴り、公に発表する場合、必ず編集が入ります。
編集者は物書きから預かった文章をチェックし、公開できる文章に昇華する手伝いをしてくれます。
この場合の「公開できる文章」とは、掲載される媒体に沿った内容、文体、クオリティのことを指します。どんなに執筆者が自分の文章に愛着を抱いていたとしても、媒体に沿っていなければ意味がありません。
媒体に合わせるために、編集者は文章をチェックするのです。
依頼されている内容を理解しているのは編集者の方が詳しいのですから、当たり前のことですよね。
だから物書きは事前に「どのような文章が求められているのか」をしっかりと把握しておく必要がある、と書いてあります。それがズレていると、編集者は「せっかく仕事を依頼したのに、手間ばかり増えた」となるからです。それでは仕事を依頼した意味がありませんよね。
つまり、物書きと編集者は二人三脚で作業を行う必要があるのです。
編集者が希望する記事の内容を物書きはきちんと把握し、文章を紡ぎ上げる。
これができていなければ、次回から仕事を失ってしまいます。
ただ、編集者も人であり、物書きも人です。何事も相性が存在します。
そのためにも編集者との関係を良好に保つことの大切さをCHAPTER 4で教えてくれます。
この箇所は大変勉強になりました。
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本書はパッと見、分厚くて読むことに抵抗を覚える方がいらっしゃるかもしれません。
ですが、その心配は不要です。
著者は「読みやすい文章」を書くことに慣れているライターさんです。読むのに時間がかかりそう、と不安に思われても、気がつけばあっという間に読み終えることができます。
文章を書いて生計を立てたいと願う方は、一度手に取られてみてはいかがでしょうか?
学ぶことがたくさんあります。
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