おはようございます。まさかのロシアがウクライナ侵攻しましたね。ニュースを事細かに追いかけた方が良さそう。
さて、今日もまた公開しました『トキ傳 愛慕の姫君』「3 夜」です。
最新話はこちらhttps://kakuyomu.jp/works/16816927859561281168/episodes/16816927860273310765
シリーズはこちらhttps://kakuyomu.jp/users/amamiya-sakura/collections/16816700427354826484
*注意:このお話は『トキ傳 観月の宴』→『トキ傳 壮途の儀』を読んだ後にお読みください。
『トキ傳 観月の宴』はこちらhttps://kakuyomu.jp/works/16816700427354769295
『トキ傳 壮途の儀』はこちらhttps://kakuyomu.jp/works/16816700427557240235
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今回は紅流葉が利鉉と二人きりで話をするシーンです。情景の美しさと、紅流葉の心情を丁寧に掬い上げることを大事にしました。
政治的な理由による婚姻は幸せなのだろうか? という問い。
しかもそれの発端が、自分を生きながらえさせるための薬だった。
それをどのように受け止めるのか、という心の動きです。
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紅流葉の両親は「不正を行ったのは利鉉なのだから、どうしてその賠償(みたいに受け取っている)に紅流葉が嫁に行かなくてはならないのだ」と怒っている。でも紅流葉が杏化天元を好いているから、仕方なし、と諦めているのです。
そして紅流葉本人は「結婚できて嬉しい。でもどうしてこのような話が舞い込んだのだろう?」と疑問に思っていました。
それと同時に「どうして自分は生かされているのだろうか」とも不思議に思っていた。
紅流葉はお馬鹿な子ではありません。自分の頭で考え、答えを見つけ出せる。その答え合わせが今回のお話でした。
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利鉉は、雀居家の長です。一族の中で一番偉い人。家督を継いだ人、と捉えていただけたら。
だから彼が考えることは、雀居家を守ること。
そして雀居家は代々大氏の役職を担ってきました。そのことに誇りがある。
だから天元家を守る、国を守る、ということを大事にしている。(そこにトキは含まれません。だってトキは国を守る存在ではなく、天元を導くものだからです)
紅流葉と藍明は、遡れば天元家と繋がりがあります。遠戚ですね。だから利鉉は病弱な紅流葉を見捨てることができなかった。
紅流葉は、雀居家の人間であり、天元家を守るためにも大切な存在だったのですから。
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紅流葉は自分が生かされているのは利鉉の政治的信条があるから、とは理解していた。けれど、薬をどこから手に入れたのかはずっと謎だったのです。
でも、それを真正面から聞くことは憚れた。だって、恐ろしいことをしているかもしれないじゃないですか。それを聞いてもなお生かされたいか? と悩む可能性だってあるわけです。
多くの人が関わった資金不正利用。ここから薬代を賄っていたのだと知り、紅流葉は納得しました。そして安堵もしたと思います。
誰かを酷く傷つけて賄われた薬ではなかった、という事実。
けれど、薬代を賄うために国の資金を横領した事実は無くならない。だから「嫁にこい」となったのだと、理解したのです。
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自分は愛されて嫁ぐわけではない、という現実。それを知ってもなお、婚姻を破棄しようとは考えない。
だって自分は愛しているのだから。
そして、相手はこちらを案じてくれている。
なら、恐れることはないだろう。
そう考え決意を固めた紅流葉。その強さを、描きたかった。
これが『トキ傳 愛慕の姫君』の主題です。
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明日は、少し昔話をしましょう。お楽しみに。
ではまた。
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